書名の「象」とは日本のことである。慶応大学に留学経験があり萩原朔太郎を愛する駐日インド大使の著者からの日本への激励の書である。明治維新と第二次大戦敗戦を乗り切った日本は、相談をして海外の良いところを取りいれ、独自の(場合によっては美的な)味付けをして問題を解決する優れたシステムを持っている。このシステムがあれば現在の経済不況という難局も対処可能であるので日本人はもっと自信を持つべきと説く。近代日本の歴史を回顧して吉田茂等の優れたリーダーシップを賞賛している。また、20世紀の初頭まで当事の列強諸国は、すべて植民地獲得及び領土拡大のための政策を進めていたのだから日本だけが「お詫び外交」をするようなメンタリティーは、避けるべきと言っている。若い人にも読ませてあげたいと思った。
その他、歴史あるインド文化の紹介もある。例えば、政治に関しては数百年前の「アータシャスートラ」、法学は「マノスムリティ」があるそうだ。いつか読んで見たいと思った。
作者: | アフターブ セット (著), Aftab Seth (原著) |
出版社: | 祥伝社 |
出版日期: | 2001/12 |